重要文化財 「日土小学校」
8月の連休、夏休みの小学校を見学に行きました。
国の重要文化財に指定されている、八幡浜市立 日土小学校です。
欧米のモダニズム建築を地元の木材で作った贅沢で珍しい建築です。
この学校は1876年に設立され、1956年には中校舎と東校舎が新築されました。
その時、設計をしたのが八幡浜市役所で働いていた松村正恒という方。大洲市出身で、東京の学校を卒業後、建築事務所に就職したのち、八幡浜市役所で勤務していました。
役所で勤務していた13年間で30もの建築物を設計しました。
その基礎になったのが、社会的弱者を救済する、という考え方です。
60年以上前、照明設備も十分でなかったため、自然光を多く取り込めるよう設計されています。
教室は壁一面がガラス張り。
反対側には高い位置に窓があり、風も通るようになっています。
図書館には障子があり、柔らかい光が差し込み、天井に貼られた銀紙で反射し、内部の光を補っています。
図書館の横にせり出したベランダがあり、子供たちは毎日そこでお昼ご飯を食べているそうです。
手の届きそうな所にある川、四季折々に変化するみかん畑、山、遠い空、、、
こんな贅沢な景色を見ながら友達と食べるご飯は一生の思い出になるでしょう!
この川にせり出したベランダ、本来なら河川法違反なのですが、
設計をした松村正恒氏が「ここで学ぶ子供が、こんな美しい環境で勉強できたことを思い出し、心が清められるのであれば、私の罪ぐらいは償える」と押し通したそうです。
デザイン性だけを求めるのでなく、この学校を使う子供たちのことを真剣に考えていることがわかります。
他にも階段の蹴上げ(段の高さ)が12cmしかなく、つまずきにくくなっていたり、
2階の廊下は一面ガラス張りだったり
フリースペースの前の職員室までガラス張りだったり、、、
これまで何度も改修が行われ、大切に使われ、重要文化財として評価されてきたのだと思います。
「真に良いモノは残る」そう感じた建築物でした。
また、12月29日に一般公開が行われるので興味がある方は訪れてみてください。
http://www.city.yawatahama.ehime.jp/docs/2014071000034/
白潟