アセムスタジオ

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歴史の面影

6B0CE7F9-0C30-4582-BE4A-238439CD3C56先日生けたお花。

初めて生けた植物ですが、

実物を見たことがなかったので

葉一枚一枚から自然そのままに生けるのが

なかなかに難しい。

 

万年青(おもと)という植物ですが、

栽培の歴史は300年とも400年以上とも言われ、

古くは徳川家康が江戸城へ入る時、家臣の中には

万年青を献上したものがいるとも伝えられています。

江戸時代には、主に大名のもとで栽培が行われていたとのこと。

 

その後、栽培がある程度は一般庶民にも広がり、

その中でも一部の万年青には、一芽百両と言った

とんでもない価格がついた例もあったといいます。

栽培の中心は武士階級から富裕階層へと移り、1877年頃には

京都を中心に大きなブームがあり、1鉢1000円(現代の1億相当)

という例もあったそうです。

 

確かに、佇まいが堂々としている。

万年青、という字もまた良い。

赤い実(種)を植えると必ず芽が出、青々と成長するということから

子孫繁栄や富の象徴として考えられているなど、

そんなお話を先生に伺いながら、生ける時間がとても好きです。

 

そういった日本のいわれや、暦などが

わたしはほんとうに好きで、昔のひとたちの

言ったことは、ほんとうに的を得ている。

 

今年も、1月20日大寒を過ぎると

また一気に冷え込み、気候が不安定な現代でさえも

暦はあっさりと言い当ててしまうのでおもしろい。

情報が少ない時代だったからこそ、

自然やひとと真っ正面から向き合う姿は

見習うべきものだなあ、と

正座でいつも、お花を前に思います。

 

 

2018-01-23 3:50

津嶋沙織
Saori Tsushima

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スタイリスト

写真好きの祖父の血を受け継ぎ、
写真に関わる仕事に飛び込む。
創ること、
描くこと、
表現すること は、
毎日、していたいと思う。

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